こんにちは、ちゃむです。
今回は次のような悩みを持つ人に向けての記事です。
稲盛和夫さんの『生き方』が気になっている。本の内容を知りたい。
当記事で稲盛和夫さんの『生き方』の要約と本書から学んだことを紹介します。
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稲盛さんが本書で伝えたいことは次の5つに集約できます。
伝えたいこと
・一生懸命働くこと
・感謝の心を忘れないこと
・善き思い、正しい行いに努めること
・素直な反省心でいつも自分を律すること
・心を磨き、人格を高めつづけること
これら5つのことを踏まえて、稲森さんは次のように言っています。
当たり前のことを一生懸命行っていくことに、まさに生きる意義があるし、それ以外に、人間としての「生き方」はないように思います。
引用元:『生き方』
つまり、人間として当たり前のことを一生懸命におこなうことが大切なのです。
ここで簡単に稲盛さんのプロフィールを紹介します。
1932年 - 2022年。鹿児島県出身。
京セラ、第二電電(現:KDDI)創業者。日本航空名誉会長。
京セラ、KDDIは現在では大企業になっています。
2010年に倒産した日本航空の会長に就任し、翌年には黒字を出し、日本航空を再建させました。
日本航空の再建にあたり、稲森さんは「フィロソフィ(哲学)」を説きました。
「一生懸命に仕事に打ち込む」「感謝の気持ちを忘れない」「つねに謙虚で素直な心をもつ」などの考え方です。
フィロソフィが従業員の心に浸透するにつれて、会社の業績が驚異的に伸びて、予想を超えてはやく日本航空の再建をすることができたのです。
稲盛さんのプロフィールを詳しく知りたい方は下記のサイトをご覧ください。
稲盛和夫OFFICIAL SITE
本書は5つの章で構成されています。
第1章 思いを実現させる
第2章 原理原則から考える
第3章 心を磨き、高める
第4章 利他の心で生きる
第5章 宇宙の流れと調和する
それでは、『生き方』を紹介していきましょう。
目次
稲盛和夫さんが『生き方』で伝えたいこと
先ほど、稲森さんが本書で伝えたいことを5つ書きました。
これらのことをひと言で表現するならば、次の言葉になると私は感じました。
「ど真剣」に生きる
本書の冒頭で稲盛さんは次のように書いています。
私たちはいま、混迷を極め、先行きの見えない「不安の時代」を生きています。豊かなはずなのに心は満たされず、衣食足りているはずなのに礼節に乏しく、自由なはずなのにどこか閉塞感がある。やる気さえあれば、どんなものでも手に入り何でもできるのに、無気力で悲観的になり、なかには犯罪や不祥事に手を染めてしまう人もいます。
引用元:『生き方』
そのような閉塞的な状況が社会を覆いつくしているのはなぜでしょうか。それは、多くの人が生きる意味や価値を見いだせず、人生の指針を見失ってしまっているからではないでしょうか。今日の社会の混乱が、そうした人生観の欠如に起因するように思えるのは、私だけではないと思います。
このような時代に必要なのは、「人間は何のために生きるのか」という根本的な問いが大切だと稲盛さんは言っています。
「人間は何のために生きるのか」という問いに真正面から向き合い、生きる指針としての「哲学」を確立することが必要なのです。
では、どのような哲学が必要なのかといえば、それは「人間として正しいかどうか」ということです。
「人間として正しいかどうか」という哲学を基に、今日一日を「ど真剣」に生きることが大切なのです。
次の章からは、それぞれの章の【要約】をお伝えします。
「第1章 思いを実現させる」の【要約】
第1章の大事なポイントは1つ。
ポイント:「思うこと」
人生はその人の考えたことで形づくられるものであるというのは、多くの成功哲学の柱となっている考え方です。
稲盛さんも自らの人生経験から、「心が呼ばないものが自分に近づいてくるはずがない」ということを、信念として強く抱いています。
その人の心の持ち方や求めるものが、そのままその人の人生を現実に形づくっていくのです。
したがって事をなそうと思ったら、まずこうありたい、こうあるべきだと思うことが大切になります。
ただし、「思うこと」で大事な点が2つあります。
①「すさまじく思う」こと
②すみずみまで明瞭にイメージできること
それぞれ簡単に説明しましょう。
①「すさまじく思う」こと
願望を成就につなげるためには、並みに思ったのではダメです。
寝ても覚めても四六時中そのことを思いつづけ、考え抜く。
それほどまでひたむきに、強くひと筋に思うこと。
そのことが、物事を成就させる原動力となるのです。
②すみずみまで明瞭にイメージできること
イメージが白黒で見えるうちはまだ不十分です。
イメージがカラーで見えるようにならなければいけません。
すみずみまで明瞭にイメージできたことは間違いなく成就するのです。
人間には願うことを現実にする力が潜在的に備わっています。
ですから自分が成功した姿を思い描けるということは、その人にとって成功の確率がきわめて高いということなのです。
「第2章 原理原則から考える」の【要約】
第2章の大事なポイントは2つ。
ポイント1:原理原則はシンプル
ポイント2:人生の方程式
それぞれ説明していきます。
ポイント1:原理原則はシンプル
私たちは物事を複雑に考えすぎてしまう傾向があります。
しかし、物事の本質は実は単純なものです。
いっけん複雑に見えるものでも、単純なものの組み合わせでできている。
複雑に見えるものほどシンプルにとらえ直そうという考え方や発想が大切なのです。
嘘をつくな、正直であれ、欲張るな、人に迷惑をかけるな、人には親切にせよ。
人間として正しいか正しくないか、よいことか悪いことか、やっていいことかいけないことか。
稲盛さんは人間を律する道徳や倫理を原理原則として、人生や経営に当てはめて考えたのです。
ポイント2:人生の方程式
人生をよりよく生き、幸福という果実を得るには、どうすればよいか。
稲盛さんは一つの方程式で表現しています。
人生の方程式
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
人生や仕事の成果は、三つの要素の”掛け算”によって得られるものであり、けっして”足し算”ではないのです。
能力とは才能や知能などの先天的な資質のこと。
熱意とは事をなそうとする情熱や努力する心のこと。
どちらも0点から100点まで点数がつけられます。
そして最初の「考え方」。
三つの要素のなかではもっとも大事なもので、この考え方次第で人生は決まってしまうといっても過言ではありません。
考え方という言葉は、いわば心のあり方や生きる姿勢、人間を律する道徳や倫理を原理原則とした哲学、理念や思想などです。
考え方が大事なのは、マイナスポイントがあることです。
0点までだけではなく、その下のマイナス点もある。
つまり、プラス100点からマイナス100点までと点数の幅が広いのです。
能力と熱意に恵まれていても、考え方がマイナスなら掛け算をするとマイナスにしかならないのです。
「第3章 心を磨き、高める」の【要約】
第3章の大事なポイントは2つ。
ポイント1:心を磨くために必要な「6つの精進」
ポイント2:「ありがとう」といえる準備をしておく
それぞれ説明しますね。
ポイント1:心を磨くために必要な「6つの精進」
心をよい方向に高めて、能力のみならず人格ある人間をめざす。
賢い人間であるだけでなく正しい人間をめざすべきであるのは、どんな人でも変わりはありません。
それは生きる目的、人生の意義そのものであるといってもいいのです。
心を高めるということは、生まれたときよりも少しでも美しい心になって死んでいくことではないかと稲盛さんは考えています。
生まれたときよりは死ぬときの魂のほうが少しは進歩した、少しは心が磨かれたという状態。
稲盛さんは心を磨く指針として、ご自身の経験から「6つの精進」が大切だと考え、まわりの人たちに説いてきたのです。
6つの精進
①だれにも負けない努力をする
②謙虚にして驕(おご)らず
③反省ある日々を送る
④生きていることに感謝する
⑤善行、利他行を積む
⑥感性的な悩みをしない
ひとつずつ簡単に説明しましょう。
①だれにも負けない努力をする
人よりも多く深くきわめること。
それをひたむきに継続すること。
不平不満をいうひまがあったら、1センチでも前へ進み、向上するように努める。
②謙虚にして驕(おご)らず
謙虚な心が幸福を呼び、魂を浄化させることにもつながっていく。
③反省ある日々を送る
日々の自分の行動や心のありようを点検して、自分のことだけを考えていないか、卑怯な振る舞いはないかなど、自省自戒して、改めるよう努める。
④生きていることに感謝する
生きているだけで幸せだと考えて、どんな小さなことにも感謝する心を育てる。
⑤善行、利他行を積む
善を行い、他を利する、思いやりある言動を心がける。
そのような善行を積んだ人にはよい報いがある。
⑥感性的な悩みをしない
いつまでも不平をいったり、してもしかたのない心配にとらわれたり、くよくよと悩んでいてはいけない。
そのためにも、後悔をしないようなくらい、全身全霊を傾けて取り組むことが大切である。
ポイント2:「ありがとう」といえる準備をしておく
いまという時代は物質的な豊かさとは裏腹に、心の貧しさ、精神の空虚さが顕著になってきています。
なかでも「6つの精進」のなかにもあげた、「感謝」の心が希薄化している。
物があふれ、満ち足りた時代だからこそ、「足るを知る」心、またそれを感謝する心をもう一度見直す時期がきていると稲盛さんは考えています。
必要なのは「何があっても感謝の念をもつ」のだと理性にインプットしてしまうこと。
「ありがとう」といえる心をいつもスタンバイさせておくことが大切なのです。
感謝は満足から生まれるものであって、不足や不満からは生まれてはきません。
同じものを得ても、足りなく思う人もいれば満ち足りる人もいます。
少ないものでも「足るを知る」人もいれば、いくら得ても飽くことを知らない人もいる。
不平不満の絶えない人がいる一方で、どんなときでも心が満ち足りている人もいます。
あくまでもそれは心の問題なのです。
物質的にはどんな条件下にあろうとも、感謝の心をもてれば、その人は満足感を味わうことができるのです。
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「第4章 利他の心で生きる」の【要約】
第4章の大事なポイントは1つ。
ポイント:「足るを知る」
稲盛さんは、これからの日本と日本人が生き方の根に据えるべき哲学をひと言でいうなら、「足るを知る」ということであると考えています。
「足るを知る」の心がもたらす、感謝と謙虚さをベースにした、他人を思いやる利他の行いが大事なのです。
「足るを知る」という節度が消えて、もっと欲しい、もっと豊かになりたいというエゴが前面に押し出され、ついには地球環境をも脅かすほどの状況に陥ってしまった。
私たちが地球という船もろともに沈んでおぼれないためには、もう一度、必要以上に求めないという自然の節度を取り戻すほかはありません。
私たちは自らの欲望をコントロールする術を身につけなくてはならないのです。
すなわち「足るを知る」心、その生き方の実践が必要になってきます。
いまもっているもので足りる心がなかったら、さらに欲しいと思っているものを手に入れたところで、けっして満足することはできないはずです。
ただし「足るを知る」の生き方とは、けっして現状に満足して、何の新しい試みもなされなかったり、停滞感や虚脱感に満ちたような生き方のことではありません。
古い産業が滅んでも、つねに新しい産業が芽生えていくような健全な新陳代謝が行われる、活力と創造性に満ちた生き方です。
私欲はほどほどにし、少し不足くらいのところで満ち足りて、残りは他と共有するやさしい気持ち。
あるいは他に与え、他を満たす思いやりの心。
稲盛さんはそのような考え方が必ず日本を救い、大きくいえば地球を救うと信じているのです。
「第5章 宇宙の流れと調和する」の【要約】
第5章で大事なポイントは1つ。
ポイント:人生をつかさどる見えざる大きな2つの力
稲盛さんは、人生をつかさどっている見えざる大きな力が2つあると考えています。
見えざる大きな力とは次の2つです。
見えざる大きな力
1.運命
2.因果応報の法則
それぞれ説明します。
1.運命
人はそれぞれ固有の運命をもってこの世に生まれ、それがどのようなものであるかを知ることができないまま、運命に導かれ、あるいは促されて人生を生きていく。
異論がある方もいるかもしれませんが、稲盛さんは運命の存在は厳然たる事実であると考えています。
人は自らの意思や思惑の届かない大きな「何か」に支配されています。
それは人間の喜怒哀楽をよそに、大河のごとく一生を貫いてとうとうと流れ、いっときも休みなく私たちを大海に向けて運びつづけています。
では、人間は運命のまえではまったく無力なのかというとそうではありません。
もう一つ、人生をつかさどっている、見えざる大きな力があるからです。
2.因果応報の法則
よいことをすればよい結果が生じ、悪いことをすれば悪い結果が生まれる。
善因は善果を生み、悪因は悪果を生むという、原因と結果をまっすぐに結びつける単純明快な「掟」のことです。
私たちに起こるすべての事柄には、かならずそうなった原因があります。
それはほかならぬ自分の思いや行いであり、その思念や行為のすべてが因となって果を生んでいくのです。
私たちがいま何かを思い、何かを行えば、それらはすべて原因となって、かならず何らかの結果につながっていきます。
また、その結果についての対応が、再び次の事象への原因と化していく。
この因果律の無限のサイクルも、私たちの人生を支配している摂理なのです。
運命と因果律
2つの大きな力が私たちの人生を支配しています。
運命を縦糸、因果応報の法則を横糸として、私たちの人生という布は織られているわけです。
人生が運命どおりにいかないのは、因果律のもつ力がそこに働くからです。
いっぽうで、善行がかならずしもすぐに善果につながらないのは、そこに運命が干渉してくるからなのです。
ここで大事なのは、因果応報の法則のほうが運命よりも若干強いということです。
人生を律するこれら二つの力の間にも力学があって、因果律のもつ力のほうが運命のもつ力をわずかに上回っています。
そのため私たちは、もって生まれた運命を因果応報の法則を使うことで変えていくことができるのです。
したがって、善きことを行うことによって、運命の流れを善き方向に変えることができる。
人間は運命に支配されるいっぽうで、自らの善思善行によって、運命を変えていける存在でもあるのです。
『生き方』から学んだこと
私が『生き方』から学んだことをひと言で表現すると
「ど真剣」に生きる
です。
本書を読んで響いた文を引用します。
今日を生きることなしに、明日はやってきません。明日もわからないのに、5年先、10年先のことがはたして見通せるでしょうか。
引用元:『生き方』
まずは、今日という一日を一生懸命に過ごすこと、それが大切だと思うのです。どんなに壮大な目標を掲げてみても、日々の地味な仕事に真剣に向き合い、実績を積み重ねていかなければ成功はありえません。偉大な成果は堅実な努力の集積にほかならないのです。
先の功をいたずらに焦らず、今日一日を懸命に、真剣に生きることによって、おのずと明日も見えてくる。そうした充実した一日の連続が、5年たち、10年たつうちに大きな成果に結実するー私はそう考え、肝に銘じながら、これまで経営を行ってきました。その結果、「今日を完全に生きれば明日が見える」ことを、人生の真理として体得することができたのです。
要するに「今日を一生懸命に生きる」ということですね。
”人間として正しいか正しくないか、よいことか悪いことか、やっていいことかいけないことか。”
この原理原則を哲学として、今日一日を生きる。
今日一日を「ど真剣」に生きることが自分の人生を生きることになるのではないかと感じました。
まとめ:稲盛和夫さんの『生き方』から学んだことは「ど真剣」に生きること
稲盛さんが本書で伝えたいことは次の5つに集約されます。
伝えたいこと
・一生懸命働くこと
・感謝の心を忘れないこと
・善き思い、正しい行いに努めること
・素直な反省心でいつも自分を律すること
・心を磨き、人格を高めつづけること
つまり、人間として当たり前のことを一生懸命におこなうことが大切なのです。
私たちはいま、先行きの見えない「不安の時代」を生きています。
このような時代には、「人間は何のために生きるのか」という問いに真正面から向き合い、生きる指針としての「哲学」を確立することが必要なのです。
どのような哲学が必要なのかといえば、それは「人間として正しいかどうか」ということです。
「人間として正しいかどうか」という哲学を基に、今日一日を「ど真剣」に生きることが大切なのです。
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稲盛さんの『心』の要約記事も書いています。
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